春は函館。やうやう桜づく五稜郭すこし離れて、ベイエリアでラッピを食べる。
ということで冬の知床に続き、春の函館に行ってまいりました。
今回函館行きを決めたきっかけはそれこそ1月の知床で現ジャンル:北海道 になったので、原点回帰で春の函館に戻ろう、となったからである。
なぜ故郷でもないのに「春の函館へ戻ろう」なのかというと、わたしが人生で初めて1人で遠出したのは高校一年生の春、行き先は函館であった。
当時Art style of GLAYというミュージアムが彼らの故郷函館にあり、そこが閉館するとのことで、閉まる前に絶対どうしても行きたい!と単身函館まで向かったのであった。
今思えば高一の頃から、本人不在のミュージアムのためだけに1人で函館まで飛ぶような人間だったのだ。
中学生の頃から函館出身バンドのGLAYのファンであることから、函館という街に並々ならぬ思い入れがある。それとは別にしても、現時点で訪れたことのあるどの国の都市よりも、函館という地が一番好きだ。
なので、自分の人生の軌跡を振り返るように「春の函館に戻ろう」となったのである。
5月初旬ならタイミングが合えば五稜郭でお花見なんか出来たりするのでは?と期待を持ちつつ、3月頭のANAのセールで航空券を購入した。
関西から函館に行くには伊丹空港からJALかANAに乗るのが恐らく最短ルートである。
今回の旅程は5/6〜5/9までの3泊4日。GW中でもほぼ終わりかけの平日金曜往路、GW明けの月曜復路にしたので、なんと2万円で往復航空券が買えてしまった。
やはり航空券は早く買うに越したことはないのだ。
普段神戸空港か関西空港しか利用しないので、伊丹空港はおそらく9年ぶり。
知らない空港の空気を楽しみつつ、朝食に上島珈琲のトーストセットを食す。
空港で搭乗時間を待ちながら食べる朝食は、リゾートで頂くそれとはまた別の独特の高揚感がある。
ギャリギャリに氷が入ったアイスカフェラテとフカフカのトーストを咀嚼しながら、今日から始まる4日間に胸を躍らせる。
天候も良く定刻通りに飛行機は飛び、機内でアップルジュースを飲みながら、不要なメールを削除したりスマホの整理に勤しんでいるとあっという間に函館に着いてしまった。
機内から見える山と海。
ここがどの辺りかはわからないが、見渡す限り山しか見えないという景色の非日常感がいやでも気持ちを盛り上げてくれる。
函館空港に到着し、預け荷物を待っているとまぐろが流れてきた。函館の洗礼を受ける。
空港から函館駅前行き直通バスの出発時間が迫っており、それを逃すと1時間後まで次のバスが来ないので、焦れながらなかなか出てこない己の荷物を待つ。
この時間すらもはや愛おしく感じる。
なんとか3分前にバスに乗り、函館駅前まで向かう。
函館は空港のアクセスが良く、駅前までバスで20分ほどで到着する。その気軽さが函館の好きなところのひとつでもある。
函館駅に到着。
これだよ……この駅舎だよ………久しぶり……(˚ ˃̣̣̥ω˂̣̣̥ )
函館の地を踏んでいる感動に打ち震えながら、駅前のホテルへ向かう。
今回の旅のホテルはこちら。
フレックスステイイン函館駅前
https://www.mystays.com/hotel-flexstay-inn-hakodate-station-hokkaido/
今回の旅は贅沢せずビジネスホテルに。
じゃらんコーポレートサービスのプランと自分のポイント利用で、なんとダブル3泊素泊まりで1万円を切る破格の安さ。
駅前のバスロータリーの真向かいにあるので、アクセスは抜群に良い。
案内された部屋は521号室。
522という番号に執着するたちなので、非常に惜しい。
室内はこんな感じ。
広くはないが狭くはなく、おおむね満足。
建物の新しさに比べると窓際やカーテンは少し汚かったのと、タオルは2泊分しか用意されていないのに自己申告しないと3日目の分の用意はしておいてくれなかったことだけが少し微妙なところ。
あと、連泊中のゴミの回収は無く自分でホテルの裏まで捨てに行くシステムだそう。
わたしは3日間でさほどゴミが出なかったので、ゴミ出しの機会はなかった。
そして連泊中にリネンの交換や清掃は無く、希望する場合は1500円かかる。
その辺りで宿泊代のコストダウンを図っていることを思えば特に不満は無し。
チェックインを終えて早々に街へ繰り出す。
駅前広場は綺麗に手入れされていてたくさんのパンジーが咲いていた。
駅前広場にあった函館市民憲章にグッとくる。
核兵器廃絶平和都市宣言に函館市への信頼度がまた上がる。
駅出口横にイカの郵便ポストを発見。かわいい。
駅前から散策がてら歩いてベイエリアへ向かうことに。
なぜか道端に帆立の貝殻が絵馬のように飾られていた。観光地らしくてよい。
空港バスの運転手さんがアナウンスしてくれたように、港に日本丸が停泊していた。
港の向こうに函館山が見え、感動に震える。
わたしは、函館に来たのだ………
集魚灯がたくさんついたイカ釣り漁船にすら函館を感じて嬉しくなる。
ベイエリア近くで現れたコメダ珈琲店。
ロゴが港仕様になっていてコメダまでお洒落だ。
この辺りは伝統的建造物群保存地区だそう。
赤レンガの正面にラッキーピエロことラッピ。
こちらはマリーナ末広店。昔こんなところにラッピあったかな?
外観もすごい情報量だが、店内もはしゃぎ・極み。
この時点で15時ごろだったが、昼食をまだ摂っていなかった。
昼はラッピにすると決めていたのだが、御目当ての店舗はこちらではない。
もう少し奥に歩みを進めると見えてきた景色に感動で打ち震える。どれだけ震えるんだ。
この、ハセストとラッピとカリフォルニアベイビーの並びの向こうに、函館山。これだ、これこそ函館だ。
高校一年生の頃に初めて来た時からa boy 〜ずっと忘れない〜、この景色。
ああ、わたしは函館に来たのだな、と何度目かの実感をしてちと泣いた。
ラッピこと、ラッキーピエロ ベイエリア本店。
ラッキーピエロとは函館のローカルチェーン店で、ハンバーガー店と思わせておいて焼きそばやオムライスやカレーなんかもある、なんでもありのお店なのだ。
金賞受賞、ご当地バーガー全国NO.1と書かれているように、どぎつい見た目に比例して?非常に人気のあるファストフード店である。
店内にはメリーゴーランドの馬もいて、なんとブランコ席もある。今回わたしはブランコ席に座った。
不安定そうに見えて座ると意外と安定しているのである。
店内は緑を基調にしていてお洒落。
オリジナルグッズが多いので、グラスやマグカップ、Tシャツやなぜか松前漬けまである。なんでもありである。
「GLAYよありがとう。JIROくんありがとう。ラッキーピエロのオリジナルTシャツ」
このPOPがまだ残っていたことに感動した。10数年…もしかすると20年ものではないだろうか。
店内にはGLAYへの感謝状が。
「グレイ殿」に味がある。
なぜGLAYがラッキーピエロに感謝されているのかというと、今の10代の子は知らないかもしれないが、90年代当時この函館出身4人組バンドは爆発的人気があった。当時1日で20万人を集客する野外ライブが出来るぐらいのモンスターバンドなのだ。
ちなみに東京ドームのキャパが5.5万人なので、その4倍弱の集客のライブをしたということである。
話は逸れたが、彼らはその大人気の当時から函館のソウルフードとしてラッピを紹介していたので、ローカルチェーン店であるラッキーピエロの名を全国に知らしめてくれたことに対する感謝状である。
感謝状の上に「生涯無料証明書」という、昔流行ったアイドルのパチモンの免許証みたいなカードは、メンバーのJIROさんのものである。
ジロウちゃんは90年代に刊行された著書でラッピについて紹介しており、それによりラッピがGLAYの聖地と(ファンの中で勝手に)なったことで多くのファンが今もなお訪れているので、ラッピからGLAYに感謝状と生涯無料証明書を贈呈された。
未だに函館で他のアーティストがライブする時は、必ずと言っていいほど楽屋にはGLAYからラッピのチャイニーズチキンバーガーとハセストの焼き鳥弁当が差し入れされるらしい。
それぐらい縁のある店なので、この感謝状はこの先もずっと店舗に飾り続けていてほしいなと思う。
店舗の壁にはおすすめメニューに並んでGLAYの新聞記事も。
そしてこちらが恋に恋焦がれ恋に泣いたチャイニーズチキンバーガー
「ダントツ人気NO.1セット」で、チャイチキ、ラキポテ、自家製烏龍茶のセット。
バーガー、サイド、ドリンク各種で1番人気のものをセットにしたらしい。分かりやすくてよい。
このセットで700円程度、チャイチキ単品は380円という安さ!
ポテトもただのポテトではない。ミートソースにチーズソースがかかっている贅沢さ。
わたしはこの世の全てのハンバーガーの中でこのチャイニーズチキンバーガーが一番好きだ。
初めて食べた時の感動を今も忘れない。
高校生の時に初めて食べたあの時から、30代になった今も、一口食べた瞬間に美味しい!で頭がいっぱいになる。
チキンもうっすいチキンが1枚入っているのではなく、ごろごろで甘辛く味付けされたチキンが4個ほど挟まっているのだ。
レタスとマヨネーズのバランスがまた良い。
ボリューム満点でこれひとつでかなり満腹になるので、いくつになってもこれを完食できる健康な胃袋を持っていたいなと思う。
ラッピがあるというだけで函館に住む理由になる、それぐらい大好きな食べ物である。
これを読んでいる人にも人生で一度は食べてみてほしい。本当に美味しい。もうすでに恋しい。
ラッキーピエロのいいところはトイレに貼られたこの貼り紙にも現れている。
この店舗がそうなのか全体的にそうなのかは分からないが、店員同士も和気藹々と楽しそうに会話していて良かった。
オリジナルのガチャもある。
回してみたらラキポテのマグネットが出た。やった。
店外にもGLAY
癖の強い自販機。オリジナルのラッキーガラナ🍺
遅い昼食を終えて満腹になったので、赤レンガ倉庫に戻る。
西波止場
ここは海産品や加工品が売っている広いお土産店。
今日は金森ホールで猿回しの公演があるようで、お猿さんがいた。可愛い。
ショップに売っていたアイヌ衣装を着た熊の飾り。
こういうどう考えても明らかに不要物ほど無性に欲しくなってしまう。
赤レンガ倉庫内にはクリスマスカード専用ポストがあった。クリスマス時期に郵送してくれるらしい。
季節外れのサンタに笑顔が溢れる。
向かいのカウンターでポストカードも販売していたので、自分宛に送ればよかったな。
入ってすぐ目に入った「TDK with GLAY」の文字に「ここは……1999年…?」と混乱した。懐かしすぎる。
同世代以上の方はご存知だろうか。過去にTDKとコラボしたGLAYのMD(!)が販売されていたことを…
わたしはMD世代である。
GLAYの楽曲のオルゴールコーナーもある。すごいな。
ここのオルゴールはJPOPアーティストの歌も置いてあるので、高校生らしき女の子が母親に「なんで嵐があってSnowManがないのか」ということを言っていてなんだか微笑ましかった。
置いてあるオルゴールがどれもわたしの趣味ど真ん中のものばかりで、目に映るもの全て欲しくなってしまって無駄に店内を3周ぐらいした。
6000円のオルゴール…必要か…?と一晩考えたが、冷静になってもやはり欲しかったので、最終日に再訪してハート型の天使のものと悩んだ末、結局ブルーのメリーゴーランドを購入した。
結果これがリビングに置いてあることでQOLが爆上がりなので、間違いなくこれは必要経費であった。わたしの判断はいつも正しい。
次回訪れた際は天使の方を買おう。なぜならわたしの判断は正しいので。
また少し歩くと蔦の生い茂った洋館のような建物が。
ここは明治館。
ここにもオルゴールが置いてある。
ベイエリアに陽が落ちる…
この金森ホールは高校生の頃GLAYが立った場所なので勝手に思い入れがある。
ベイエリアにあるスタバもお洒落。
陽が落ちる前に函館山に登りたいので、ロープウェイ乗り場方面に歩いて向かうことにした。
道中みかけたシュークリーム専門店。とても美味しそうだったので気になりつつ、満腹のため入店できず。
きたぞ、八幡坂!
八幡坂はわたしが函館で1番好きなスポットだ。
この坂を登って行くのはまぁまぁしんどい。冬に訪れると凍結しているので歩くだけでとても怖い。
この坂は階段を設置して正解だと思う。
そしてこれがわたしが函館で1番好きな景色。
石畳の坂道の両端を彩る街路樹、その果てに見える海と港に停まった船、その向こうに見える山。
海と山に挟まれた函館という街が詰まった、とても美しい景色だと思う。
人々の生活圏内にこんなに美しい景色が溶け込んでいる。ここもまた、わたしが函館という街を愛する要素のひとつだ。
しばらく景色を眺めて、また函館山方面に歩く。
時期が少し遅れたので葉桜になってしまった。
これは八重桜であってる?
ハリストス正教会は残念ながら保存修理の工事中。
また一本道に入ると坂道が出てくる。そりゃそうだ、坂道の上を歩いているのだ。
右手に見えるのはカトリック元町教会。
少し歩くとまた教会。こちらは函館聖ヨハネ教会。
歩いているととても可愛いお店を見つけた。
アクセサリーや展示会をしているお店らしい。
こんなに可愛い外観のアクセサリーショップを15時オープンで出来るなんて…なんて羨ましいんだ…
いや勿論それなりの苦労があるだろうとは思うがなんて素敵な暮らしなんだ…
こんな可愛い店で自分の雑貨やアクセサリーを置いて、たまに自分でも手作りで作ってみたりして、そして自分が作りたいものだけのメニューのカフェを併設したお店を持ちたいな…函館に移住してさ…
新たな夢の誕生である。
人生、夢はないよりある方が悪くはない。夢がある方がいいとは言わない。でもあると悪くはない。
ということで、人生もうなにもしたくない…と思いながら生きていたアラサー女性の老後の夢が出来た。どうかこれを読んでいる人は祝って欲しい。
人間どこで夢が生まれるか分からないものだな、と思いながら歩き続ける。
カフェペルラ
ここはGLAYのリーダー、TAKUROさんお気に入りのカフェで、窓から景色を眺めながら曲を作っていたという場所。
昔に閉店してしまっていたのが2020年に再オープンしたとのことで楽しみにしていたのに、残念ながらコロナ影響で休業していた…悲しい…
GW中の混雑具合を調べていたら夕方ごろには1時間待ちぐらいになるほど混んでいたとのことで、気持ち早めに来てみたが、GW中の平日ということもあって全く待ちなしだった。
ロープウェイを降りて、展望台側ではない方に行くとそちらから見える景色もとても綺麗だった。
夕方から夜になるまで1時間ほど景色を眺めた。
言葉はいらない美しさ…
函館山を十分堪能したので、またロープウェイで山を降りる。
また夜のベイエリアに戻る。
今日の夕食はカリフォルニアベイビーにする予定が時間より早く閉店していたので、ハセストのやき弁にすることに。
ハセガワストアは函館地区限定のコンビニ。(写真は昼に撮った)
看板に大きくあるように、“やきとり弁当”が看板メニューであり函館のご当地グルメ。
これまた大好きな食べ物である。今夜の夕食はこれだ!
店内にはやき弁の誕生秘話も。
そう、ハセストのやきとり弁当とは豚バラの串焼き弁当なのだ!
注文してから焼き上げるのでいつでも出来立てが食べられる。
夕食の時間帯ということもあって、ベイエリア店はやき弁待ちの人が多く出来上がりまで20分ほど待った。
ベイエリア店の店内にはこれまたGLAYだらけ。
ハセストとGLAYもまたラッピと同じように深い仲なのである。
またホテルまで20分歩いて帰る元気は無かったので、タクシーでホテルに戻る。
待望のやきとり弁当である。
こちら小で確か500円以下。
期間限定で塩、たれ、うま辛の3種類セットがあったのでそれにした。
うんまい。変わらぬ美味しさ。
焼いた豚バラの下にある海苔ご飯がまた美味しいのだ。
ちなみにわたしはたれと僅差で塩が1番好き。
ああ、写真を見ているだけで今すぐにでも食べたい…
ラッピとハセストがあるというだけで、日本のどの都市よりもアドバンテージがあることを函館市民は自覚してほしい。
ホテルのVODで映画を観ながら今日一日をツイッターで振り返り、函館に来たんだなぁと満たされた気持ちで5/6を終えた。
この日の歩数は16600歩。