犬生の気高さよ

君を忘れない

郷愁の函館旅_day2

函館2日目の朝である。

この日の朝食は朝市で食べることに決めていた。

話は逸れるが、わたしは旅に出る時全日程のスケジュールを綿密に決めるタイプだ。
誰かと一緒の旅であれば相手の嗜好や体力に合わせるようにするが、一人旅となれば話は別。多少ハードスケジュールでも行きたいところに全て行く。
全て取りこぼさず効率的に回れるように計画を立てるのが好きだ。それ自体が趣味と言っていい。


さて、函館の有名な観光地のひとつに函館朝市がある。

函館朝市函館駅のすぐ隣にあるのでアクセス抜群。
レビューの良い店が無いかとGoogleマップで調べていると、どうも朝市の評判はあまり良くない。
もちろん美味しいことは美味しいはずだが、「客引きの声掛けが凄くてゆっくり見れない」という口コミが多い。これはいただけない。
わたしは食に対して優柔不断なので、急かされると逆に何も食べたくなくなってしまうのだ。旅先でそんな思いは絶対にしたくない。
自分の注文が決まるまで誰にも声を掛けられたくないような、陰気な人間なのだ。

調べると駅周辺にはもうひとつ市場があるようだった。
“はこだて自由市場”という場所もあり、そちらは地元民も買い物に行くところで、観光客への過剰な声掛けもないとのこと。もうこれはそちらに行くしかない。
駅前のホテルから徒歩15分弱かかるが、そんなに遠い場所でもなかったので、自由市場に行くことにした。




 
はこだて自由市場に到着。
なるほど看板にも「市民の台所」と書いてある。

市場はさほど大きくないが、当然ながら多くの店が立ち並んでいるので目移りしてしまい、何を買えばいいか分からなくなる。


大きなたらば蟹の足!
とても食べたかったが、金欠の分際で旅に出てしまったので今回は諦めた。



こんな感じで毛蟹、明太子、いくら、もちろん採れたての魚などなどが並んでいる。
噂通り、観光客と同じぐらい地元の方が多く、みんなその場で魚を捌いてもらっているようだった。

ぐるぐる歩き回った末、朝御飯に刺身のパックをひとつ購入。

中トロ、サーモン、シマアジ、タイが入って1000円。中トロ入りでこれは安い!

市場の入り口側には食事をするブースがあり、その向かいには白米が200円で売っているので、即席刺身定食の完成。

そのすぐ横にはイカの生簀がある。客が生きたイカを釣るとその場で捌いてくれ、死にたての(?)イカの刺身が食べられるのだ。こちらも確か1000円。
函館といえばイカなので食べたかったが、流石に1人でイカ一杯分の刺身は食べられないので断念。
これは今度友人と来たら挑戦したい。

近くに座っていた2人組は、捌きたてのイカの刺身、市場内で買った刺身やいくらの小パックなど色々と2人でつまんでいた。
複数名で行けば色々食べられるので、こんな朝御飯もどうだろうか。
ビールも売っていたので、朝市で朝一ビールなんてことも可能。

朝市から自宅へ配送で購入したのは、鱈の味噌漬け、いくら、鮭とば、サーモンハラス。

鮭大好きびと。


こちら、ドンデマカロニという商品。

マカロニを揚げて砂糖をまぶしたお菓子。
GLAYのTERUが美味しいと発信して以降、人気商品になったそう。ひとつ試食で頂いたらとても美味しかったので購入。
こちらの店舗のお姉さんとたくさんお話しできてとても楽しかった。


市場も楽しんだので、散歩しながら一旦ホテルへ戻ることにする。


さすが北海道、なんでもないただの道路や歩道が広い。地元ではこうはいかない。


歩いていたら見覚えのある景色が目に入った。
月光仮面像の公園!

この公園もはじめて函館に来た時からの思い出の地である。
ジロウちゃんの著書でご本人がこの公園を紹介されていたので、16年前当時函館に来た時に同じ構図で真似して写真を撮った。なぜかその時のシーンが動画のように今でも脳裏に焼き付いており、鮮明に思い出せる。
特別な場所ではないのに、記憶に強く残っている場所だ。


公園にはとぼけた顔のパンダも散らばっている。

カラス


ホテルまでの道の途中、珈琲の良い香りがしてきた。

珈琲焙煎工房函館美鈴

昭和7年創業の、北海道で初めての珈琲店だそう。
当時は鈴木商店として開業し、後に市民公募で「函館美鈴」に店名が決まったそうな。

外には北海道初の珈琲焙煎機が展示されていた。

食後のカフェラテ目当てで入店したが、店内では珈琲豆の販売も。

右手の焙煎機で、注文後に豆を焙煎して焼きたての豆を売ってくれるそう。
せっかくなので珈琲豆を購入することにした。

出てきたカフェラテを飲みながら、豆がローストされ挽かれるのを店内で待つ。

文化的な雑誌と並んで函館競輪開催日程のカレンダーが置いてあるのがなんとも味わい深い。

ショーケースにはケーキもいくつかあるので、次はゆっくりとカフェ利用がしたいところ。


こちらが今回購入した豆。人気だそうなので“函館マイルドブレンド”を選択。

焙煎仕立てだからか、とても香り高い。袋の口を縛ってもう一枚袋に入れていても、ホテルの部屋が珈琲豆の香りでいっぱいになるぐらいだった。
購入時は密閉できるジップロックの持参をおすすめする。

肝心の味だが、残念ながらわたしは珈琲の味の違いが分かる人間ではない。
毎朝必ずコーヒーを淹れて飲む癖に、コクがあるだのフルーティだの、全く分からない。
美味い、不味いしか分からない。が、これは間違いなく美味い。それだけで充分だと思う。


カフェラテを手にホテルに戻り、しばらくベッドでゴロゴロと過ごした。
たまには旅先のホテルでゆっくり休む時間があってもいい。と言いつつ、この日は夕方から雨予報となっていたので、30分ほどしたらまた街に出た。



ホテルから少し歩いて着いたのがこちら、SODAPOP

何の変哲もない服屋のようだが、G4spaceというGLAYの展示施設でもある。

函館のライブハウスで演った時のセットや、HISASHIのアンプ、ゾンビ子ちゃんなどがいる。

店内奥の撮影禁止場所には衣装や過去グッズ、HOWEVERを作詞した際に何枚ものルーズリーフに書かれた歌詞の案達が展示されており、懐かしいなぁこんなのあったなぁと脳内で1人ぺらぺらと喋りながら楽しんだ。

お布施にジロウちゃんデザインのTシャツを買い、店を後にする。

キレートレモンの自販機、懐かしい。



啄木小公園に行きたかったので市バスのバス停に向かったが、時刻表を見るとバスの本数が少なすぎて全く話にならない。
丁度いい時間のバスがあることに期待はしていなかったので、散歩がてら歩いて向かうことにする。


寂れた(失礼)ショッピングモールのような施設の外観が綺麗。


道なりに歩いていると稲荷神社があった。こちらは大森稲荷神社。
せっかくなのでお参りしてみた。

この後、旅の中でツイてるなぁと思うようなことがあったのだが、今思えばこのお参りのお陰だったのかもしれない。ありがとうございます。


ここは漁火通りというらしい。お洒落な道路名だな

イカの絵が可愛い🦑


ホテルかもめ。

なんとも味のあるホテルじゃないか。真横が海なので完全オーシャンビュー。雀荘もあり。謎カプセルもあり。一度泊まってみたい。

飛ぶカモメ

砂浜のカモメ



出発地点から30分ほど歩いて、啄木小公園に到着

石川啄木は函館に縁が深く、「死ぬ時は函館で死にたい」と手紙に書くほど函館を愛していたそう。私か?
大森浜を望むこの場所に像が設置され周辺も整備されて、啄木小公園となったとのこと。


見渡す限りの海!ここが津軽海峡春景色!

右手には函館山が見える

水平線の向こうにうっすら大陸が見えるのが分かるだろうか。これはなんと青森県。青森が見える距離だとは思わなかった!

Google MAPで確認してみたところ、大間町辺りが見えているらしい。


カフェラテを飲みながら、気づけばここで1時間近く海を眺めていた。
寄せては返す波を意味もなく眺め、自分の人生やこの社会について考える。そういう時間が好きなのは、恐らく己の性格なのだろうということに最近気付いた。
イギリスでビートルズを聴くように、函館でGLAYを聴きながら、海をぼうっと眺めて物思いに耽る。
なんでもないことだが、とても贅沢で、この旅の中でも思い出深い時間になった。

公園のすぐ隣には土方・啄木浪漫館という建物がある。
土方歳三石川啄木の記念館のようなものだと思う。


この時点で14時ごろ、結局昼ご飯も食べず歩き回っていたことになる。
とはいえあまり空腹感もなく、どこに行こうかとGoogle MAPを眺めていると、15分ほどの距離に人気のケーキ屋があるらしかった。
食事をする気にはならないがケーキなら食べたい。また少し歩いてケーキ屋へ向かうことにした。


住宅街の中をしばらく歩いて到着。

ペシェ・ミニヨン


大きな窓で光を取り込んだ明るい店内。内装もお洒落

店内の窓からは、外にあるサンルームの席も見えた。離れの個室のようでとても良い雰囲気。

ケーキの種類もとても豊富で悩みに悩んだ末、いちごのタルトを選択

クリームがあっさりしていて食べやすく、とても美味しかった

なんとトイレまで可愛い

お土産にダックワーズやマドレーヌを購入。
ダックワーズ、なぜこんなに美味しい…


しばらくカフェでゆっくりしたものの、次の目的地五稜郭まで歩いて行く気力は無かったので、タクシーで向かう。


五稜郭公園に到着!

公園内の桜は、残念ながら既に葉桜になっていた。GW前半に行けば丁度満開だったのだろう。


一の橋

二の橋

ゴールデンカムイの聖地でもある。
どこの橋のどのアングルが…という検証は金カムファンのどなたかがされているので、是非ともそちらを探してほしい。


金カム本編とは対照的になんとも長閑な景色。

藤棚を通って五稜郭の内側へ向かう

箱館奉行所

AR記念撮影もできるそう


奉行所近くにはとても綺麗な枝垂れ桜がある

函館で花見が出来て嬉しい

植わっている木はほぼ全て桜なので、満開の時期に来ると壮観なのだ。

ぽつんと立った満開の八重桜が緑に映えていて逆に良い

お堀内は貸ボートを漕いでいる人たちもいて、なんとも楽しそう。

色んな人たちがそれぞれ休日を楽しんでいてとてもいいなぁと微笑ましく思う。


きたぞ!五稜郭タワー

神戸ポートタワー京都タワー横浜マリンタワーもあまり興味がないが、五稜郭タワーは大好きなので函館に来ると必ず登る。

上から見た五稜郭。これを見ると函館に来たなぁと実感する

タワー内には土方歳三の像がある。
金カムのおかげでなんとなく親近感を覚えてしまうな

函館山が見える

そのもっと遠くに青森も見える。

タワー内には土方歳三五稜郭の歴史が描かれていて、読むだけでも面白いので五稜郭タワーに登った人は是非時間をとって全て読んでみて欲しい。

すぐ近くに歴史博士のようなお爺さんがいて、同行者に解説しているのをこっそり聞かせて頂いた。
詳しい人の話を聞くのはやはり面白い。


写ルンです、懐かしい…

この骨董品のような記念メダル刻印機を見てくれ

高校生の頃初めて来た時、メダル作ったなぁ…と思い出した

なぜかコンピューター手相占いがあったのでやってみた

大体の性格診断でいつも言われるようなことが書いてあり驚いた。手相占い(というより占い全般)は信じていなかったが、案外デタラメでもないのかもしれない…

地面が見える窓

ジェラート屋さんがある。小腹が空いたので食べてみることにした

かぼちゃ味、美味しかった


本日の夕食はこちら。
鮨金分店さん

回らない寿司である。

なぜこの店かというと、これまたGLAY御用達のお店で、彼らがデビュー前に上京する前日、この店でお寿司を食べていったらしい。
どうせなら彼らにルーツがある美味しいお寿司が食べたかったので、こちらのお店に伺った。

彼らのファンであることを話すと、サインを出してきて下さった。ジップロックに入っていて笑ってしまった

今回は「松」のコースにしてみた。
親が寿司嫌いのため、思えばチェーン店でない回らない寿司は人生で初めてなように思う。
大人になったなぁ…としみじみする。とっくにいい大人なのだが…

お寿司たち



どれもとっても美味しかった!当然ながら、シャリからして全く違う。
満腹になるのか?と思っていたが、出てきた10貫ほどで十分満足してしまった。

付け合わせはアスパラとプチトマトで、そのアスパラガスがまた美味しかった!女将さんも自信があるようで、納得の美味しさであった。
嫌いな食べ物のほとんどは克服したとはいえ、トマトときゅうりだけはまだ食べられない。特にトマトは噛んだ瞬間に吐き戻してしまいそうになるぐらい苦手だ。
正直この付け合わせのプチトマトにも怯んだが、何一つ残してはならないと覚悟を決めて食べたところ、存外に食べられた。
やはり美味しいとは言えないが、口にして吐き気がしないだけですごい。旅先の効果か、特別に美味しいプチトマトなのか…恐らくそのどちらでもあると思う。


回らない寿司屋に初めて一人で入るとなると少し緊張もするものだが、このお店は大将も女将さんもとても気さくで、GLAYの話はもちろん、昔の函館の街の話、女将さんが1人で行った海外旅行の話まで、色んなお話を聞かせて下さったので、それも含めてこの旅の中でも特別な思い出になった。

旅先で現地の方のお話を聞くということは、一人旅の醍醐味の一つでもある。
函館はやはり格段に人があたたかいなぁと思う。

函館に訪れてゆったりとお寿司を食べたい人は、是非ともこちらのお店に足を運んで、お二人との会話も楽しんでほしい。

鮨金分店
〒040-0011 北海道函館市本町10−3
https://goo.gl/maps/HrvpTaXMs7FR44wC8




近くに無印良品の入ったビルがあり、その中にGスクエアという市民のためのフリースペースがある。
そこにまたGLAY関連の展示があるとのことで、それを見に行くことにした。

エスカレーターを上がってすぐ見えた景色がこれ。
レリーフになったんだよなGLAYは(猫)

さすがに面白すぎて笑いが込み上げてきた。
なんかこう…アメリカの岩に彫られた大統領を彷彿とさせる……

時計の下にはサイン入りギターも飾ってある。

そしてなんとこの時計は、決まった時間になると時報のようにGLAYの曲がメロディで流れて、鳩時計のように中からミニチュアの船に乗ったGLAYメンバーが出てくるのだ。あまりにシュールすぎる…

これが市民の日常の風景として溶け込んでいることがまたじわじわくる。


そしてこのGスクエア、目的通りに学生達が勉強したりスマホをいじったり、思い思いに利用して賑わっていた。
絵本図書館というものもあり、子供達も自由に過ごせるようになっていてとても良かった


函館市、面白……と1人笑みながら、市電に乗ってホテルへ戻った。


地元の人と話す機会が多く、充実した2日目であった。

この日の歩数は16849歩。